水樹が保健室で話を伺っていると、拓弥達が入ってきた。
「っ…はぁ。んだよ。水樹、ここに居たのか。」
「俺を探してたのか…どうした?」
水樹は拓弥の怪我に驚きつつも話を聞いていたからか、冷静に声をかける。
拓弥は勝手に救急箱を取り出し手当を始めながら言った。
「…渡辺から、伝言。秘密をバラされたくなければ校庭に来いって…。」
「…秘密?あいつらが知ってるとなると…髪か。」
「ああ、カツラずれた時の?」
春が思い出したように呟くと水樹が頷く。
それに首を傾げるのは翔たちだ。
他の人はなんだかんだで知っている。
「カツラ?」
「…ああ。」
水樹は頷きながらウィッグを取った。
「へぇ…てっきり染めてたのかと思ってたよ。」
燈蔭がそういうのはウィッグがそれほど巧妙な作りだったからだろう。
人の髪に似ている材質を使っている為、高いがその分ちゃんとしている。
「あのさぁ。俺は別にバラれてもいいとは思うけど。ストレス溜まってるんだよねー。」
「あ?テメェこの前発散したばっかだろうが。」
「いやぁ、朝女の子に囲まれたからさ。」
「囲まれるの嫌なら、演技やめろよ…。」
「そんなこと言われてもねー。」
「はぁ…まぁいいや。ついでに警察に届けるか、あいつら。」
水樹はカラコンを外しゴミ箱に捨てる。
喧嘩している最中にずれたら洒落にならない。
「行くぞ、辰巳、宗平。」
「ああ。」
「やった!」
水樹たちは呼び止められてるのにも関わらずそれを無視して保健室から出た。


