―――流石にキツイ…どうにかして抜け出せないか?
拓弥は敵を往なしながら考える。
壁が薄いところもあるがそこまで行く為の揚力が残ってるかどうかである。
それなら目の前にある敵を倒したほうが楽かもしれないだろう。
その時、外側から敵が倒されていくのが見えた。
戦っているのは春と悠人。
「黒城!速くこっち!」
春が拓弥に向かって叫ぶ。そこは人一人が通れるくらいのスペースがある。
拓弥は頷き、そこから出る。
春たちとは体育の一件からメルアドを交換するくらいには仲良くなっていて、どうして来たのかは分からないが助けに来てくれたようだ。
「っ…済まない。」
「別に気にすんなよ、友達だろ。」
「それより…速く逃げるよ?」
拓弥は春の手を借りつつ、その場から逃げるように退場した。
その背中に声がかけられた。
「熊野水樹を呼んで来い!逃げるならお前の秘密をバラすってな!」


