瑞稀は近寄ってきた不良一人の腹を蹴る、吹っ飛ぶぐらいの力で。
そのため、その不良の後ろに居た人も巻き添えを食らう。


―――見た感じ、ざっと7人くらいか。…吹っ飛ぶくらいの威力出したけど…これで怖気づく人は居ないよな。


ちらっと周りを見渡し、不良たちを観察する。

その時、ちょうど後ろから殴りかかってきた不良を殴りながら、前に脚を出し相手の急所を蹴る。


「…4人。」

「くっ…てめぇ、強いな。」


先ほど転ばせた男が立ち上がり、言う。


「強くないとやっていけませんから。」

「…なぁ、サシでやんね?てめぇと本気で戦ってみてぇ。」

「…もし、貴方が負けた場合、他の人に手出しさせないというなら。」


まぁ、ここは了承してもらわなければ困る。一対一でやるということは、他の人達に手出しはさせてはいけないのだ。もちろん勝敗が決まったあとも。


「当たりめぇだ。…ということだ!手ぇ出すんじゃねぇぞテメェ等!」

「いいのか?大勢で戦ったほうが…。」

「いいんだよ。負けたら負けただ!」


渋々、と言った感じで男以外の人達は後ろに下がる。


「なかなかいい根性ですね。好きですよ、そういう性格。」


口角を軽く上げながら言う。


「はっ、気持ちわりぃ。…このコインが落ちたらスタートな。」


そういった男の手にはいつの間にかゲーセンなどで使うコインが握られていた。


「はい、わかりました。」

「じゃあ、行くぞ!」


そういった瞬間、男はコインを弾く。

――カツンッ…!

コインがアスファルトの地面に落ち、戦闘開始の合図を鳴らす。