Secret Mission




黒城は、体育の授業を受ける気のないあの四人組と離れ、体育に出ていた。

渡辺たちは黒城にもサボろうぜと声をかけたのだが、断られたのだ。

少しばかり嫌な顔をされたが、黒城は元々あいつらに心を許したわけじゃない。ただ、隠れるには調度良い場所だと、そう思ったからだった。

先生にペアを組めと言われてどうしようか悩んでる時だった。


「…一緒に組みませんか?黒城さん。」


そう、胡散臭い笑顔を向けてこっちに歩いて来た水樹に声をかけられたのは。


「…なぜ俺のところに来た?お前には千葉とか…居るだろ。」 

「翔は今日は出れないそうなので。……それに、色々聞きたいこともあったので。」

「……聞きたいこと?」

「ええ。……貴方の右上の席の人について。ちょっと知りたいなと思いまして。」

「…何が目的だ。」

「目的なんてありませんよ。…僕はただ、今まで学校に来ていない生徒が気になっただけですし。」

「………わかった。俺の知ってる限りのことは教えてやる。」 

「ありがとうございます、じゃあ、よろしくお願いしますね?……黒城さん。」


そう言って水樹は手を差し出す。
黒城はそれを握手だということに気付き、二人で握手を交わす。


「…さん付けはやめろ。気色悪い。」

「じゃあ、拓弥。」

「………それならいい。お前の事も水樹って呼ぶ。」

「わかりました。良いですよ。」


そこで先生が声を出した。


「よし、みんなペア組んだみたいだな。なら、立ったままでできるストレッチでもやってくれ。」


その先生の言葉が合図となり皆、自由にストレッチを始める。


「……人任せですか。」 


水樹は苦笑いしながら先生の適当さに突っ込んだ。


「……ああいう性格だからな。ペアでやれって言うけど別にただの体操するだけでも構わないらしい…。」


黒城…いや、拓弥は屈伸をしながら言う。


「…そうなんですか。あ、そうだ、拓弥、後で電話番号とメルアド教えて……。」


ください。そう言う前に水樹は固まった。
水樹は忘れていたのだ。自分のスマホが壊れてしまったということに。


「……お前が新しいの買ったらな。」


別に紙で教えてしまっても良かったのだが、万が一無くしたら…ということがあったら困るからだ。