白黒のぬくもり

そう遠くまでは行ってないはずだけど。
外では雷も鳴ってる…

「アルトどこ行っちゃったんだろ。大丈夫かなぁ」ばあちゃんに言ってみる。
「雨随分降ってきたから帰ってくりゃいいに…」
二人でため息をつく。

遠くで猫が喧嘩する声が聞こえた…！

ギャオォゥッ…

「アルト？！どうしよう！アルトじゃない？！この辺はデカイ猫いるから危ないよ！！」怪我しちゃったら大変だ…

探しに行かなきゃ…

「アルト探してくる！」どこをどう探したらいいかわかんないけど、とりあえず激しく雨の降る外へ出た。

「アルトー！アルトー！」何度呼んでも物音一つ、猫の気配一つしない。

猫の行きそうなところ…
アルトはまだ小さいし、お外出始めだから、そんな遠くには行ってないはず。

名前を呼びながら家からすぐの空き家の前に座って中を伺う。
中で何か光った。

ガタッと音がしたかと思うと一匹の白っぽい大きな猫が空き家から飛び出て行った。

「アルト？いるの？アルト？」空き家の中からチリンと小さな鈴の音…
アルトの首輪の鈴の音だ。「アルト！」
チリンチリン…近くにやってくる。

びしょ濡れになったアルトだ。