白黒のぬくもり

「到着ー!ご苦労様!じゃあ荷物下ろしてくれる?」
私は実家の玄関をあけて
「ただいまー!荷物とりあえずここにいれちゃうから!」とだけ言って、健二が下ろした荷物を玄関へと運んだ。

玄関といっても昔商店を営んでいたため、8畳分くらいのスペースがある。

荷物の運び出しはすぐ終わった。
アルトを助手席から下ろして健二にお礼を言おうと思っているところへママがやってきた。

何言うんだろう…

「あなたが荷物運んでくれたの?」健二に話かける。「あ、はい…」
「すみませんねぇ、大変だったでしょ、お茶でも入れるから飲んで行って下さい」健二は微妙な笑顔で、やたら頭をペコペコ下げて
「このあと用事がありますので!これで失礼させていただきます」とペコペコ。
帰って行った。

玄関前にママと二人きり。
「あんた、その手から提げてる箱みたいの、何入ってんのよ?何か連れてきたんじゃないでしょうね…」

へへへ…と私も微妙な笑顔を見せながらキャリーの扉をママの顔の前にやった。
「ニャォーン」
それと同時にママの叫び声。
「冗談じゃないわよ?!猫なんて連れてきて!あたしが猫嫌いなのわかってるでしょ!!今すぐ捨ててらっしゃい!」