白黒のぬくもり

このアパートとも今日でさよなら、あのオヤジと関わることも一生ない。

階段を下りながらキャリーのアルトに
「どーせなら100万じゃなくて1000万って言っちゃえばよかったねー?そしたらペット専用マンションに引っ越しできたねー」なんて言いながら車の助手席にアルトと乗り込んだ。

健二にお礼無しっていうのもなんだからなぁ、帰り飯でもおごればいいかな?

「実家のほうに向かえばいいんだよね?」
「うん、近くになったら私が道教えるから、それまではとりあえず実家方面で」
健二と私の実家は近くて、車で10分くらい。
5年くらい前にクラブで知り合った。
私が横浜にいた時は毎週健二を含め何人かでジンの家に行ってぶりったりして楽しかったなぁ…

「あの頃のメンバーはどうしてるの?」うーんと考えた後
「なんかジンは薬で借金すごいみたいで、副業もはじめたらしいよ?」ジンは薬と聞けばなんでもやりたくなってしまう奴だった。

いつだったかシャブをやって3日寝れてないって車で私のとこに来たときはヤバかった。

顔色悪いし、ずーっとオナニーしていて危ない人だった。車もぶつけた跡があって「こーゆーぶつけた跡があると警察はシャブ中を疑ってくるんだよ!!」と怒っても無反応だった。