白黒のぬくもり




「ママに電話しなきゃだよ、アルト。なんて言おう?ママなんて言うだろ?」
中指でアルトの下顎を擦りながら話しかけてみる。

ぐるぐるいいながら寝転ぶアルト。

もし実家に帰ることになって、ママはアルトの事どう思うだろう…
ママは動物が大嫌いだった。特に鼠と猫!

「ふー、困ったね。気合いでかけるか…」
携帯に実家の番号は登録していない。
ずっと実家に電話なんてかけてないけれど、番号は忘れていない。
ゆっくりとボタンを押す。
プルルル…プルルル…何度目かのコールで『はい』と声がした。
おばちゃんの声だ。
よかった、一発目でママがでなくて。

一息おいてから
「もしもし?ばあちゃん?あたし、ママいる?」久しぶりの孫からの電話に喜びの声をあげてから『今かわるよ』
受話器をテーブルの上にでも載せたのか、ごとっと鈍い音がしてから『咲子ー、電話だよー』とママを呼ぶ声が聞こえる。
何かゴソゴソとした音がした後
『はい』ママの声がした。
「あ、あのさー実家帰りたいんだけど…」ストレートに言った。
『何、急に。大体あんた2年も顔見せないでいて!何してるのよ?!』
何て言おうか。
予想通りの反応だったけれど。