白黒のぬくもり

はみ出たビニールにハサミを引っかけて引きずり出して、ドキっとした。

果物ナイフのようなものが入っていた。

そのナイフの下にはまた封筒がある。
「何…」ビニールの中身を思い切って取り出した。
封筒は触ってすぐにわかった。
中を見ると札束だった。
封筒から札束を抜くと一枚の紙切れが落ちた。
4つ折りにされたそれを開くと黒マジックで雑な文字で
『さっさと出てけ!馬鹿女!一週間経っても出てってなかったら殺すぞ』と書かれていた。
このナイフも殺意があるぞとの意志表示?
子供じみていておかしかった。そんな脅しなんてどうだっていい、100万手に入ったから。

「アルトー!!100万円だよ!引っ越ししよう!」

はぁ、早く引っ越しの準備しよう。引っ越し屋は高くつく、そう沢山荷物はないから友達の車で運べるかもしれない。

真夜中だというのに私は車を持っている友達に片っ端からメールを送った。
誰か一人くらいはつかまるだろう。

明日はスーパーから段ボールを貰ってきて箱詰めをする事にした。

残る問題は引っ越し先。
やっぱり実家かなぁ…
ひとまず。
明日はママに電話しよう。

2年以上顔を合わせていない親に電話するのか…