私は深呼吸して心を落ち着かせた。
「先生、私… 手術も治療も受けません。」
ハッキリと言った。
私の中にもう迷いはなかった。
「何度も考えました。
でも…何度考えても私には、この声が必要何です。
寿命が短くなってもいい。
ずっとベッドで寝るぐらいなら大好きな人達と大好きな歌を最後まで歌っていたい。
これが私の出した答えです。」
私がそういうと田中先生は切ない顔でニコっと笑った。
「こうなった魅音ちゃんには何を言っても変わらないんだろうね…
分かった。
最後まで歌い続けなさい。
声帯が負けて声が出にくくなってくるかもしれない。
倒れたりしたら即、入院してもらいます。」
田中先生は私の意見を最後まで尊重してくれた。
後悔はない。
私は最後まで私でいる。
