ビリリ
最後のラブレターが破ける。
ひらひらひら
破片が床に舞い散る。
女の子の好意と勇気の塊は思ったより脆く、こうも簡単に崩れてしまう。
切ないなぁ。
余談だけどね、いま破られたラブレターの差出人は僕のクラスで一番グラマーな子だよ。
「掃除手伝え」
「読み上げちゃうぞー?」
「さっさと拾って捨てろ、アホ」
僕たちは床に散らされた綺麗な紙を拾って、ゴミ箱に入れてゆく。
もったいないなぁ、こんなに好意の証があるのに見もせず捨ててしまうんだよ?
バカな男だ……。
「ねぇねぇ湖歌君」
「なんだよ」
「ラブレターってなんかいい匂いするよね、なんでだろ?」
「臭い」
匂いに好き嫌いはあるよね。
ラベンダーの香りとか、ミントの香りとか。
まぁ彼の言うのはメス臭いとかキモいとかそっちのことだろうけど。
やっぱこいつ、ホモじゃねぇの?
どうでもいいけどさ。
