あーあ。
冗談ではぐらかしてしまった。
嘘つきみたいだなぁ。
でも、好きなものの判定基準がよく分からないんだ、僕は。
今までの人生経験はゼロに等しい。
覚えていないから。
虚しさを感じていたら、彼がこちらを見つめてきた。
「お前……やっぱりホモか」
「えー?冗談だってーもー」
「カマホモ慈音」
「うるさいなー君ー」
冗談も言えるのか、こいつ。
そりゃ、湖歌君の事は嫌いではない。
でも恋人にするとしたら……柔らかい、いい匂いのする女の子がいいな。
あ、ほら、記憶が無くっても欲求みたいなのはあるじゃん?
ふわふわもちもちおんなのこ。
