「おーい、桜花いる〜?」
と、教室の入口付近で私の大好きな人の声がする。
「おうか、秋がまた、お呼びですよ〜♡」
と、からかうこの子は、幼なじみでもあり、心からの友達、佐久間朱璃(さくまあかり)あだ名。あ~ちゃん)

「ちょっと行ってくる、あ~ちゃん待ってて!」
「はいよ〜!」

自己紹介おくれました。
私、木下桜花です。(きのしたおうか)
珍しい名前だよね、生まれた時に桜の花が舞っていたらしく、桜の花のように綺麗に、真っ直ぐな子に育ってほしい。
そういう願いが込められている。

だから、桜花って名前は気に入ってる

っていけない、私、秋を待たせてるんだった!

「ったく、おせーよ!何やってんだ、バカ!」
あぁ、こういう時間がすごく好き。
「うるさいなぁ、バカは秋でしょ?で、要件は何?」

「あ、あぁ、宿題を…「はぁ、また宿題。いつになったら自分でやってくるの?」
えへへ、ごめんね、秋が言い終える前に言っちゃった!

だけど、本当はすごく嬉しい。
せめて、これがずっと続いてくれたらな。

「はい、バカ‘‘あき"!」
「俺は、あきじゃねぇ、‘‘しゅう’’だ!!」

「ばあか、それくらい知ってますー。」

ほんとバカ、私の気持ちも知らないくせに。

私の好きな人、松本秋(まつもとしゅう)
17年間一緒に育ってきた、いわゆる幼なじみ。
あ~ちゃんと共に、私達は、幼い頃から仲が良い。

秋は、優しくて、格好良くて、サッカー馬鹿。おまけに勉強もね。(笑)

どんなにサッカー馬鹿でも、勉強ができなくても、私は、秋が好き。

でもね、この恋は絶対に叶うことはないんだ。

なぜかって?だって、こうして宿題のノートを取りに来ているのだって、同じB組の、中岡明深(なかおかあみ)ちゃんと喋るため。

喋るためというか、会いに来てる。
二人は付き合っているから。

ね?叶わないでしょう。

それが辛くて、何度も、泣いたりした。
だけど!好きなんだもん、そう簡単に諦められることじゃない。
諦めようとしても、無理だった。

だから、だから今日。
終止符を打ってきます。