そう言って彼は私を優しく抱き締めた。
その時初めて見せてくれた、
優しい笑顔と、
初めて呼んでくれた私の名前。
"璃唯"
それは無音の声。
だけど私にはその声が酷く甘い声に聞こえた。
「捺芽を宜しくね」
初めて捺芽ママに会ったとき、そう言われた。
「………はいっ!」
捺芽のどこが好き?
そう聞かれると答えにくい。
…………私をよく見てくれているところ?
…………優しく抱き締めてくれるところ?
…………少し意地悪なところ?
…………私にだけ見せる柔らかな笑顔?
…………私を見つめる穏やかな瞳?
それとも"璃唯"と呼ぶ無音の声?
結局、答えに困って……
私は
"捺芽の全てが好き"
そう言うのだろう。

