【短編】君の声



保健室の先生は捺芽に視線を移して、
ふわっと微笑んだ。


「彼がね、血相変えて保健室に飛び込んで来たからびっくりしたわ。必死に私に伝えてきたの、璃唯を助けてって…」


普段、表情をあまり変えない捺芽。

そんな捺芽が血相を変えるほど、
私を心配してくれたなんて…



………愛しい。

堪らなく、彼が。




胸が疼いて、心臓が暴れだす。

顔が火照ったのも………
自分じゃ治せなくて、恥ずかしい。





「……ずっとあなたの手を握って、心配そうにしてたから………安心させてあげてね」




「……はい、ありがとうございました」




「私はこれから会議があるから……」


「はい」




先生はそれだけ言うと白衣を翻して、
保健室から出ていった。


















「……………」


捺芽が握っている手とは反対の手で、
彼の頭を撫でる。




しばらくそうしていると、
彼の手がピクッと動いた。


………起きたかな?