【短編】君の声




「あれ、噂をすれば彼氏さんの登場だ」

ドアを開けたまま立っていたもう1人の男が、階段の下を見ている。


…………捺芽が来たんだ。




「おーい、そろそろ璃唯ちゃんを解放してあげろよー!」


私の隣に立つ男が捺芽に向かって叫ぶ。



「っ、ふざけないで!!」



捺芽のことを何も知らないくせに。










階段の下にいる捺芽に視線を移すと、

彼は哀しそうにこちら側を見上げていた。



…………きっと哀しそうな顔をしていると分かるのは、私くらいだけど。





「…捺芽っ!!!」



捺芽の元に駆け寄ろうと、足を踏み出す。





「あ、ちょ、待てよ!」


━━━グイッ…



「えっっ、」


後ろから男に腕を引かれて、私はバランスを崩した。






━━━━━落ちるっ!!!




私は咄嗟に目を瞑った。