【短編】君の声






「…あれ?噂の偽善者璃唯ちゃんじゃん」


屋上のドアを開けたのは、
知らない男2人だった。



「…………」



動揺がバレないように、男から視線を外す。





「……無視ー?」


少しチャラい雰囲気の男たちは、
笑いながら私に近づく。




…………別に初めてなわけじゃない。

捺芽が声を出せないのは有名な話。

しかも捺芽はほとんど表情を変えず、
誰とも関わろうとしない。

彼にも親友はいるのだけど………
あいにく他の高校だ。









だからそんな捺芽と付き合っている私を、
"偽善者"と呼ぶ。

声を出せない可哀想な捺芽に同情しているだけだと。




…………そんなわけがない。

私は捺芽が好きなだけだ。






「そろそろアイツに飽きてきたんじゃね?」


声を上げて笑う男に、心底ムカついた。



「………そんなわけないじゃない!!!」


なんでこんなこと言われないといけないの。

私は声を荒げて、男を睨んでいた。