それでも実結先輩は、出身中学が同じ百井くんをかばって、美術部に籍を置かせてもらえるように持田先生に頼み込んだ? でもそれは実結先輩の点数稼ぎ?

――そんなこと、あるの?

それで、実結先輩は持田先生が好きで、でも持田先生はもうすぐ結婚してしまうって?

――なんなのこれ……。


ていうか、百井くんと実結先輩って、同じ中学出身だったんだ……。

そのことに一拍遅れて気づいて、すぐにきっと部活も今と同じ美術部だったんだろうとつながった。

だって〝ナツくん〟と〝実結先輩〟だもの、もし本当に百井くんが絵を壊したという一件があったとしても、それ以前からの親密度が簡単に想像できてしまう。


そうして、彼女たちの会話によって、百井くん、実結先輩、美術部顧問の持田先生との関係図が怒涛のごとくわたしの頭の中に叩き込まれていく。

今日、実結先輩が百井くんを訪ねてきた理由が、もしも持田先生がもうじき結婚を控えているために部でお祝いを考えたいという相談だったとするなら、実結先輩自らが百井くんのところへ出向いたことも納得できた。

だって、絵を壊した、壊された、という関係以上に、ふたりは中学からの先輩後輩という関係だ。