「私は写真のことはさっぱりだけど、こんなふうに楽しそうにしてるユニを見ると、私も楽しいし、幸せだなーっていつも思うの。モモちゃんだって、今は苦しいかもしれないけど、時間がいくらあっても足りないって思うくらい夢中になれることが、きっとすぐに見つかると思うな」
「美遥先輩……」
「モモちゃんがあんまり部活に顔を出したくない気持ち、私だって少しならわかるしね。打ち込めるものが見つかったら、ここに来るのも、ちょっとは楽しくなるよ」
「そうだと……いいんですけど……」
「大丈夫。焦らない、焦らない」
「……はい」
美遥先輩は、きっとわかっているんだろう。
部活にあまり顔を出したくないもうひとつの理由――部長や副部長に比べて自分があまりになにも持っていないから、気後れしたり、申し訳なさを感じたり、不甲斐なく思って、なかなかここに足を向けられないでいることに。
たまらず、よしよしと優しく頭を撫でてくれる先輩のほうに顔を向けると、にっこり微笑まれて、わたしも不格好ながら口角を持ち上げてそれに応える。
すると先輩は、さらに一段、笑みを深くすると、声の調子を熱っぽいものに変えて言う。


