紅茶もクッキーもないまま、写真マニアふたりはさっきからずっと、図書室で借りてきた写真集を眺めては、ああでもない、こうでもないと言いながらコンクールに向けて熱い論議を繰り広げていた。
うーん、これは完全に部に顔を出すタイミングをはかり間違えてしまったらしい……。
心から写真に魅了されているふたりと違って、ただの消去法で入部したわたしには、彼らのように青春の全部をなにかひとつのことに捧げられるものがないから。
惰性でこの場にいる自分が、なんだかとても中途半端な存在に思えて、今すぐ消えたくなってくる。
なんでわたしにはなにもないんだろう。
百井くんは水彩画に、部長と副部長は写真に、亜湖や美遥先輩はテニスに、それぞれ本気で向き合えるものをもうすでに見つけているのに、なんでわたしには、みんなみたいに夢中になれるものが見つけられないんだろう……。
すると、あまりの場違い感と居たたまれなさに猛烈に逃げ出したくなり、どのタイミングで「今日はもう帰ります」と部長たちに声をかけようかとソワソワしていた矢先、ふいに美遥先輩が口を開いた。


