「その節はありがとうございました。先輩のおかげで無事、きれいなカーテンで過ごせてます」
「いえいえ、こちらこそ。モモちゃんのお力になれたようで、なによりでございます」
お互いに変にかしこまった口調でそんなやり取りをし、目を見合わせて、ふはっと笑う。
美遥先輩とは部も学年も違うけれど、亜湖と写真部部長の瀬川悠二先輩経由で知り合い、1年生のときからとても仲良くさせてもらっている。
ちなみに、部長は美遥先輩の彼氏だ。
美遥先輩をあえて〝部長の彼女〟と表現しないのは、わたしがふたりの関係性から感じたことだったりする。
よくも悪くもいつも美遥先輩に振り回されている部長は、本人にはちょっと不名誉な表現かもしれないけれど、まさに〝美遥先輩の彼氏〟がぴったり当てはまる。
「ところで、部長と副部長の姿が見えないんですけど、生徒会かなにかですか?」
ざっと部室を見回してみたところ、部長たちの姿が見えなかったので、美遥先輩に尋ねてみる。
写真マニアのくせに部長は生徒会長、副部長の佐々木秋人先輩は副会長だ。


