それすなわち、落ちにくい汚れとも戦っているわけで、すぐに洗濯できるように部室前に洗濯機が常備されており、洗剤もまた然りだ。

行ってすぐに洗濯機を使わせてもらえる保証はないけれど、3年の藤野美遥部長とも知り合いなので、まあなんとかなるさと思う。


「ニナ、やっぱオレやる」

「……わたしじゃ役不足だっての?」

「絶対落ちる」

「そこまで運痴じゃないよ!?」


それにしても、百井くんからの、この信頼度の低さといったら……。

美術室の隅によけた脚立を引っ張り出そうとしているわたしの前に立ちはだかったかと思ったら、脚立を掴んで放そうともしてやくれないなんて。

カーテンの洗濯が終わったら話もできなくなっちゃうんだから、最後くらい格好つけさせてよ。

百井くんは黙って絵を描く準備でもしてなさい。


「いいんですー、男の子より軽い女の子のほうがなにかと小回りが利くんですー」

「その顔やめろ、ブサイク」

「んもう、ああ言えばこう言う!」


と、小競り合いは続く。

百井くんは考えもしていないんだろう。

わたしがここまで頑なにカーテンの洗濯を譲らない裏には、明日からは話しかけることさえできない寂しさが隠されている、なんてことには。