紙を指さしたり、シャープペンでつついたりしながら、口パクで百井くんに尋ねる。

けれど、途中で面倒くさくなったらしい彼は、わたしの質問を思いっきり無視して、おまけにふいっと顔も背けてしまう。


「なんなのよ、もう……」


周りに聞こえないように小さく悪態をつきながら、仕方がないので紙を開いてみる。

昼休みのことについての文句が書いてあるのなら、それもよし。

ただの嫌がらせのために紙を投げたのなら、それでもよし。

とにかく紙を開いてみないことには、判断のしようがない。

なるべく音が出ないように、そーっと開く。


【来い】


見えたのは、紙の中央にそれだけの文字だった。

しかもそれは、百井くんの気持ちの表れなのか、有無を言わせぬ命令形なのにも関わらず、字がやたらと小さいのが逆に面白い。

百井くんらしいというか、らしくないというか。

でも、彼のおかげで昼休みのときから続いていた胸のザワザワがすーっと軽くなって、わたしは、そのくしゃくしゃの紙を口に当て、しばらくクスクス笑ってしまった。





わたしが百井くんと関わりたい理由はなんだろう。