がらりと変わった百井くんの態度もさることながら、突き放すような言い方に胸の奥がじくじく痛む。
亜湖が間違っていてわたしが正しい、なんて言うつもりはないし、人にはそれぞれ考え方があるのもわかっているつもりではある。
だけど、話がしたかったと言ったことのどこに百井くんの機嫌を損ねる原因があったのかがわからなくて、なにか言おうにも声が出ず、足も竦む。
「ニナが行かないならオレが行く」
「え……?」
「どうせ誰も来ない。鍵閉めいらない」
「あっ、百井くんっ!」
すると、なかなか教室に戻ろうとしないわたしに痺れを切らしたのか、百井くんは窓枠からぴょんと飛び降りるとコンビニの袋を拾い、焼きそばパンや牛乳のパッケージをそれに詰めながら、わたしの前を通り過ぎていってしまった。
これは、百井くんとわたしの温度差の表れ……なんだろうか。
調子に乗って会いに来たりなんかするから、逆に怒らせてしまったらしい。
わたしはただ、クラスメイトだし、席替えまでだけど隣の席だし、百井くんともっと仲良くなりたいだけ、いろんな話をしてみたいだけ。
……この美術室でだけじゃなくて、教室でも。
そういうの、余計なお世話なのかな。


