目を見開いて驚き、言葉を失ったまま固まってしまった百井くんを見あげてクスリと小さく笑う。

どうせなら想いが通じ合った記念に、なんていうごくごく軽い気持ちで応募した写真だったのに、まさかこんなに大事になるなんて夢にも思わなかった。

審査結果を聞いて驚いて。

全国に行くって聞いて、もっと驚いて。


「表彰式で『被写体の彼と撮影者の百ノ瀬さんの恋する気持ちが見事に融合した写真ですね』なんて講評までもらっちゃってさ。そのときのなんとも言えない恥ずかしさっていったら……。もう、言葉では言い表せないくらい、すごかったんだから」


それは、強いて言うなら、父のせいで負ったトラウマなんて一瞬で吹き飛ぶほどのすさまじい衝撃。

自分でも気づかないうちに、わたしの恋する気持ちも一緒に写真に写り込んでいたのかと思うと、審査員の人たちは細部までよく見ているんだなと感服したのと同時に、もしかして審査した全員に〝百ノ瀬さんが好きなのはこの写真の彼なんだ〟と気づかれたんじゃないかと変に勘ぐってしまい、疑心暗鬼になりかけたくらいだ。


「……ぶっ。なんだよ、ニナもけっこう恥ずかしい目に遭ってんじゃねーか」

「そうだよ。だからこれは、お互い様なんですー」