でも、こんなときにすごく不謹慎だけど、百井くんにそこまで想ってもらえていた実結先輩が、たまらなくうらやましい。
持田先生を好きだと知っていながら、それでも実結先輩を想って罪をかぶれるなんて……。
もう過去のこと。
だけど、それだけで百井くんがどれだけ先輩に本気だったのかがわかって、否応なしに胸が苦しい。
きゅっと唇を噛みしめると、百井くんが言う。
「そんな泣きそうな顔すんな。今はニナだけだって何回も言ってんだろ。さっきも言ったけど、変わるんだ、人の気持ちは。変えたのはニナだろ、オレの目を覚まさせてくれたのはニナだろ。おかげでクラスのヤツらともいい感じに打ち解けられたし、ニナがいたから変われたことがたくさんあるんだぞ。何回好きだって言っても言い足りないくらいなんだ。どうしてくれる、アホニナ」
「そ、そんなこと言われたって……」
だって、足掛け4年でしょ? 先輩を庇って絵を壊した罪までかぶったんでしょ?
そんなの、呆れるくらい好きだって言ってもらっても、すぐには信じられるわけがないよ……。
「じゃあ、どうしたら信じてくれる? 見ろ、これ。ニナの絵だ。これだけじゃ不安なら何枚だって描いてやる」