百井くんの瞳が揺れて、わたしの瞳も揺れる。
お互いに目を合わせているのがたまらなく恥ずかしくなって、視線を逸らし合う。
わたしの恋は、どんな結末に向かっているんだろう。
ふと他人事のように冷静に分析しようとする自分もいたりして、もうなにがなんだか、わけがわからない。
困惑しているのは、むしろわたしのほう。
実結先輩のことは本当にもういいの?
じゃあ、絵が描けなくなりはじめてからも前と変わらない様子で描いていたのは、なにの絵なの? どんな絵なの?
わたし、知ってるんだよ。
最近の百井くんは、実結先輩を描いていたときと同じ顔をして絵を描いていたんだよ。
百井くんにそんな顔をさせるものって、いったいなんなの……。
不安そうな顔してんなとは言われたけれど、真っ赤な仏頂面を向けられても、それがあんまりちぐはぐなものだから、どうしたって不安になるものはなる。
「人の気持ちは変わる。一緒に過ごす相手や環境によって変わっていいんだって教えてくれたのはニナだ」
すると、百井くんが口を開いた。
逸らしていた視線をおずおずと戻すと、ひどく真剣な目をしている瞳と再度、視線がかち合う。


