「ニナ、すごく嫌そう」
「そそそそんなことないよ!?」
「無理してるのバレバレ」
けれど、そう簡単にはポーカーフェイスを気取れなかったらしく、百井くんに即見破られる。
すっかり暗くなったとはいっても、正門付近は外灯のおかげでそれなりに明かりが取れているため、一瞬で嫌そうな顔になったわたしの表情は、あのパンツのように丸見えだったのだろう。
「すいません怖いですせめてまだ少し明るいうちに切り上げてください百井くん」
「早口すぎる。理解不能」
「せめてまだ少し明るいうちに!」
「聞こえない」
「お願い! わたしオバケ系マジ無理なの‼」
「オレの気分次第」
「いけずっ‼」
そして、なんやかんやと遊ばれてしまった。
自分の否を棚に上げ、なんでわかってくれないのと膨れていると、しかし百井くんは、またスッとしゃがみ、わたしに背中を向けてくる。
「家どこ」
「……あっち」
とりあえず、坂の下に広がる町並みを指差し、百井くんの背中にまた乗せてもらう。


