活気を取り戻した校舎内は、休み中はなにをして過ごしたとか、どこに行ったとかいう友だち同士の楽しそうな会話が廊下や教室のそこかしこから聞こえてきて。

始業式後のロングホームルームでは、夏休み前のとおりに席替えが行われ、わたしの隣は百井くんじゃなくなった。


あれから何度か、百井くんとは連絡を取り合った。

急に帰ってしまったことを申し訳ないと謝られたり、また日を改めて行こうと誘ってもらったり、百井くんからのメッセージは、それが主だった。

だけど、すっかり意気消沈してしまっていたわたしは、課題の進み具合があまりよくないことを理由に、あの美術室で絵を描き続けている百井くんに会いに行くことも、改めて公園に行くことも断り、そうして新学期を迎えた。


今度のわたしの席は、窓際の列の前からふたつ目。

百井くんは、教室の真ん中あたりの列の、ややうしろ。

幸い、わたしの隣の列の前から三つ目は亜湖が座ることになって、くるりと体を反転させるだけで会話ができ、前と比べるとずいぶん便利になった。

ただ、亜湖のほうを振り向くと、必然的に百井くんの席も視界に入ってしまうのが難点で……。