それからほどなくして、夏期講習の全日程が終了した。

教室でのわたしは、相変わらず自分に対してもクラスメイトたちに対してもモヤモヤとした気持ちを抱えたままで、ため息を吐き出しては、また次のため息を吐くために空気を吸うというローテーションを繰り返している。


「じゃあ、あたしは部活だから。二学期までバイバーイ」

「……うん、ばいばーい」


そんなわたしの心境を察してか、「亜湖、部活行こー」と同じクラスのテニス部の子数人に教室の出入り口付近で名前を呼ばれた彼女は、その去り際、わたしの背中にそっと手のひらを当てると。


「……ねえ仁菜、もしかして、百井がまだクラスに馴染めてないこと気にしてる?」

「え、なんでそれを……」

「親友なんだもん、わかるよ、それくらい。でも、二学期になったら学祭の準備も始まるし、なんとかなるでしょ。もちろんあたしも協力できるところはするし」


やっぱりかー、と苦笑したあと、にししと小麦色に焼けた肌とのコントラストが眩しい白い歯をのぞかせ、小声でそう告げて部活へ向かっていった。


「……亜湖」


ありがとう、亜湖。

ありがとう、ありがとう。