「ふむふむ、待ち遠しくてたまんない、と。ほんともう、百井くんってわかりやすいっていうか、ツンデレを極めてるっていうか。ぶふふ、期待を裏切らないよね、マジで」

「なにそれ褒めてんの、けなしてんの、どっち」

「どっちもー」


――ガタッ。


「ひいぃぃ、嘘だよごめんって……!」

「ニナ嫌い。もう帰れボケ」

「ほんっとごめんってば。スケッチするのにいい場所探しておくから、それで許して……!」


調子に乗ってからかっていたら、今度は本当に逆鱗に触れたらしく、こぶしを握って戦闘態勢を取られたり。

と、なんだかんだありつつ、久しぶりに訪れた旧校舎の美術室は、本当に楽しくて。

そして、驚くほどあっという間に時間が過ぎていった。





「つーか、付き合わせて悪かったな。またいつでもメシ食いに来い」

「ううん、わたしが入り浸っちゃっただけだし、こっちこそ長居してごめん。じゃあ、遠慮なくごちそうになりに行くよ」

「おう」


結局、夏場で日が長いこともあって、すっかり美術室に入り浸ってしまったあとの帰り道では、まだ十分明るいのに百井くんがわざわざ百ノ瀬写真館の前まで送ってくれて。