「それに、今言っておかないと言えなくなっちゃうかもしれないって思って。亜湖にはいつも感謝してるんだよ。亜湖がいなかったら、こんなにすぐに立ち直れてなかっただろうし、きっと今も胸が苦しいままだった」

「そっか。……うん、そっか」


言い終わり、はぁっと短く息を吐き出してから亜湖に笑顔を向けると、複雑そうな顔をしていた彼女も、つられるようにして笑顔を作った。

わたしの恋は、はじめから無理な恋だった。

百井くんと関わる理由を〝不明〟だなんて位置づけて、しばらくは自己完結させたりもしていたけれど、結局、そう思おうとする時点で百井くんに惹かれていたわけで。

何気ない会話をしたり、真剣に絵に向き合う姿を見ているうちに、まるでそうなることが当然のように自然に惹かれていったんだと思う。


実結先輩も百井くんも、それぞれの想い人への想いをどう形にするのかは、わからない。

でも、わたしの恋は、告げないという形で完結だ。

わたしには、今の百井くんとの関係を壊してまで想いを告げるなんて、とてもじゃないけど、できそうにない。