「わたし、亜湖がいてくれて、すごく救われてる」
ふたり並んで生徒玄関を抜けて、からりと晴れ渡った青空の下に出ると、わたしは、隣で手をパタパタとさせながら風を作っている彼女にそう告げた。
すると亜湖は、案の定、なに言ってんのこの子、というように目をすがめ、
「……仁菜、いきなりどうした」
と言う。
普段のわたしは、どうにも照れくさくてあまりそういうことを面と向かって言ったりはしないので、驚いたというのもあるだろうけど、もしかしたら、頭がおかしくなったのかと本気で疑っているのかもしれない。
それか、どう反応したらいいかわからないのかも。
でも、わたしと違って部活で忙しい亜湖とは、夏休みになったらなかなか会えないだろうから。
この機会に、どれだけ亜湖に救われたか伝えておきたいと思った。
「うーん、ずっと隠し事をしてたわけだから、亜湖にとっては裏切られてたようなものでしょ? それなのに、今もこうして友だちでいてくれるなんて、やっぱり亜湖のこと好きだなーって思って」
「仁菜……」