恥ずかしくて、懐かしくて。

そして今は切ない、『momo』として最後に撮った、この写真。

たとえ撮った本人には、ひとつも気持ちが込められていなくても、そこに想いを乗せてくれた人がいて。

この写真から影響を受けて、それがまた人に影響を与えて。


「なんだ、中2のわたし、なかなかやるじゃん」


そう独り言をこぼしながら、きれいに額にはめられている写真の端っこを、プラスチックの透明板の上から指で弾いた。

偶然が折り重なって初めて知った、写真を見てくれた人の想い。

百井くんが実結先輩を想う気持ち。

百井くんに恋したわたしは、彼にとって結果的にヒーローでしかなかったけれど、それでも友だちというポジションを得られたのなら。

――それはそれで、よかったんだ、きっと。


「仁菜、さっきから部屋でなにをドタバタして。さっさとお風呂……え、どうして写真なんて……」

「あ、うん。またはじめてみてもいいかなって、ちょっと思って。終わりとはじまりは、やっぱりこの写真からのような気がしてね、押入れから探し出してみたの」


お風呂を急かしに部屋に来たお母さんに目を丸くして驚かれ、にへら、と笑う。