「確かこのあたりにしまったと思ったんだけど……あ! あったあった!」


その日、百井くんの家でたっぷり焼き肉をごちそうになって帰ってくると、わたしはさっそく押入れの奥にしまっておいたはずの〝あるもの〟を探すことにした。

運よく数分で探し当てることができ、薄くほこりをかぶっているそれに目を落とす。


「これを百井くんが……ぷふっ。てか、超下手なんだけど」


思わず吹き出してしまいながら、手のひらでそっとほこりを払う。

ちょうど3年前の中学2年の頃に撮った、例の写真だ。

現像された写真を見たときも思ったけれど、今見ても、なんて下手くそな写真なんだろうか。

その頃のわたしは、反抗期も重なって父の存在がうざくてうざくてたまらなくて。

それに、ひどく強引に貸し付けられた父愛用の一眼レフカメラは、やたらと重くて。

長時間首から下げて被写体を探していると、中学生女子が持つにはあまりにゴツくて恥ずかしいわ、肩がバキバキに凝るわで、いっそ捨ててやろうかなんて、とんでもないことをわりと本気で思ったりもしていた。


「……でも、この写真があるから、百井くんに出会えたようなものなんだよね」