みっともなく泣いてしまい、ますます顔に熱が帯びる。
泣くつもりなんて全然なかったのに、ひざの上にぽたぽたと落ち続けるそれは、拭っても拭っても、止まる気配すらない。
「ニナ、オレの前で泣くの、これで何度目だろうな」
すると、ギシリとベッドのスプリングを効かせて立ち上がった百井くんが、わたしの前にしゃがんだ。
下から見上げる格好の百井くんの顔は、話せてスッキリしたような、それでいて思いがけず号泣させてしまっていることを申し訳なく思っているような、そんなどっちつかずの表情だ。
その表情のまま、百井くんはわたしの顔にすっと手を伸ばすと、親指でそっと涙を拭う。
それから、机の上に手を伸ばして例のスケッチブックを手に取り、そっとわたしのひざの上に乗せた。
百井くんのきれいで長い指が表紙をめくって、1ページ目が開かれる。
「見て、これ。ニナの写真を初めて描いたときの絵」
「……え?」
「それからこれは、ニナの写真にもっと近づけたくて書いた絵」
「……」


