初恋パレット。~キミとわたしの恋の色~

 
自分の写真に心動かされた人がいる。

人生を変えてもらったと、だからヒーローなんだと言ってくれる人がいる。

それなのにわたしは、あの写真に〝想い〟なんてひとつも込めていない。

それどころか、昔から写真がきらいで、父のあの失敗があってからは、百井くんに出会うまでカメラに触れたいとすら思わなかった。


だから今、すごく恥ずかしい。

なんでもっと気持ちを込めなかったんだろう、なんでもっと写真を見てくれるかもしれない人のことを思えなかったんだろう。

なんで、なんで、なんで。

目の前にわたしの写真をちゃんと見てくれた人がいるのに、なんでもっとあのときのわたしは……。


「……ニナ」

「っ、うう……ごめん百井くん、びっくりしすぎて、つい涙が……ほんと、ごめん」


恥ずかしいのに、うれしい。

うれしいしからこそ、恥ずかしい。

この気持ちはいったい、なんなんだろう。

胸の奥からじわじわと込み上げてくる、この気持ちは。