初恋パレット。~キミとわたしの恋の色~

 
それはそれで、そのときの百井くんには必要なことだったんだろうと思う。


「ちなみに、戦績は?」

「ケンカが強くなりはじめてからは、言わずもがな」

「じゃあ、よっぽど強かったんだ?」

「当たり前だろ。オレを誰だと思ってんだよ」

「あはは、だよね」


ということは、それで百井くんには〝悪い噂の絶えないヤンキー〟なんていう、名誉なんだか不名誉なんだか微妙な肩書きがつくようになり、今現在もそれが周りから恐れられる原因になっている、というわけか。

まったく、百井くんって人は……。

でも結局、元をたどれば、一番いけないのは百井くんを最初にからかった子だ。

自分が同じ立場に立たされたらってどうして考えられないんだろうか。

……わっからん。


「でも、そうやってケンカばっかりやってたから、ニナの写真に出会えたんだと今は思ってる」


すると百井くんは、ちらとこちらに目配せをした。

「どういうこと?」と尋ねると、


「覚えてねーかな。夕暮れの川べりで小さい兄弟がシャボン玉を吹いてる写真、あれ撮ったのニナだろ? 逆光のあの感じがたまらなくノスタルジックで、なんかわかんないけど、無性に泣けてきて。写真の前に突っ立ったまま、しばらく見とれてた」