わかりやすくネームプレートがかかっているわけではなかったけれど、自分のお客さんを通すなら普通は自分の部屋というわけで、もれなくわたしは意中の人の部屋に棚ボタ式に通されてしまった。
「座って待って」
「う、うん」
すでに押入れの中をかき分けはじめていた百井くんに促されるままに、緊張しつつ座れる場所を探す。
けれど百井くんの部屋は、男の子にしては片付いている印象を受けるものの、男の子らしく腰を下ろせるものは勉強机の椅子かベッドかの二択だった。
要は、部屋に座布団やクッション、座椅子みたいな気の利いたものがない、ということで。
床はフローリングだから座るとちょっと痛そうだし、さすがにベッドはどうなんだろうと無駄に悩んだ末、無難な勉強机の椅子に座らせてもらうことにし、百井くんの探し物を待つことにした。
待つ間、少し勉強机の上を眺める。
教科書やノート、週刊漫画雑誌などがごっちゃになって散乱しているのがいかにも男の子らしくて、ちょっと胸がキュンとなる。
そこに埋もれるようにしてCDアルバムが何枚か重なっているのも、ついでに発見。


