地域の小さな写真展が開催されるときなどは、以前は父と一緒にわたしが撮った写真も展示してもらったりもしていたけれど、それもやめさせてもらった。
写真なんてもう撮るもんか。
それが、わたしが出した答えだった。
*
「――てなわけですよ。どうよ百井くん」
どれくらいの間、話していただろう。
ふう、と小さく息をついて窓の外に目を向け、次いで百井くんの反応をうかがうように声をかける。
だいぶ面白おかしく話したから、百井くんなら「クソくだらねぇ」なんて言って一蹴してくれるだろう。
わたしもそのほうがうれしい。
それでまた、
「こっちはトラウマなんだからね!」
「うるせー、くだらないと思ったからそう言ったんだ」
なんていう、いつもの言い合いになれば、本心では今すぐにでも実結先輩のところに駆けつけたいだろう百井くんの気持ちも、少しだけかもしれないけれど、紛らわせてあげることができるかもしれない。
「……そういやオレ、知ってる」
けれど、百井くんの反応は、わたしの予想を大きく外れるものだった。
「へ? なにを?」と聞いても、ひとりでブツブツとしゃべっているだけで。


