しかし、懇願も虚しく、父の噂はまたたく間に校内中に知れ渡ることとなる。
少し考えればわかることなんだけれど、こんなに面白いネタを黙っておくなんて、あの男子にできるわけがなかったのだ。
朝の会が終わった頃にはクラス中に。
1時間目が終わった頃には学年中に。
といった具合に、きっかり時間割に沿って噂は広まり、半日も経たずに学校中が父のしでかしたバカな行動の全容を把握し、その娘であるわたしを見てクスクス笑う、という状況が出来上がってしまった。
それからというもの、わたしの中学生活残り1年は父に奪われたも同然の結果に終始した。
廊下を歩けば新1年生にもチラチラと視線を向けられ、事あるごとに男子に父のネタでからかわれる始末。
もちろん、守ってくれる友だちもいた。
けれど、学校全体対数人では手が回るわけもなく、結果は言わずもがなという……。
そんな状況だったため、わたしにとって〝男子〟という生き物は全員敵になった。
恋愛対象になんてなるはずもない。
そして、父に無理やり写真を覚えさせられていたわたしは、そのときを境にきっぱりやめた。


