……ああ今、わたし超可愛くない。
百井くんにも先に言われてしまったけれど、一度スイッチが入ってしまったら、卑屈になる気持ちが止められなくて、膨れっ面でそっぽを向いてしまう。
ほんともういやだ、この話題……。
「事情ってなに」
けれど百井くんは、どうやら追究の手を緩めるつもりはないらしい。
話を終わらせようとそっぽを向いて壁を作ったのに、そこをぶち壊す勢いで踏み込んでくる。
「べつにたいしたことじゃないよ」
「じゃあ撮れる。撮ったほうがいい」
「いい被写体いないもん」
「探せよ、そこは。写真部らしく」
「じゃあ百井くんがなってよ」
「冗談言うな」
「ほら、そう言うでしょ? だからいいの、撮らなくて。わたしはわたしの思うようにする。それでいいよ」
なんなのもう、ほっといてよ……。
乗り気じゃないけど、コンクールに出す写真はもう風景写真に決めている。
11月までには時間だってたくさんあるし、そんなに急がなくても間に合う。
それなのに、今日に限って、どうして百井くんはこんなにもちょっとのことで食い下がってくるの。


