無言で住みかから出てきたタコは人面魚の何十倍もある大きさで、どこか不気味な雰囲気を漂わせていました。


人面魚をちらりと横目で見、彼の差し出したタコ壺を丹念にチェックして、満足したのかようやく口を開きました。


「どんな願いだ」




人面魚はふと思います。

「人魚の好きな男が誰か聞くつもりだったが、ハナからそいつを、この魔法使いに消してもらえばいいじゃないか」

と。



そこで人面魚は言いました。


「人魚の好きな男をこの世から消してくれ」