「何も出来なくても良いよ。好きだから、3分だけでいいから、そばにいてよ」



私の素直な気持ちだった

気持ちがわかると不思議なもので
見たことがないはずなのに、今まで見てた怜の顔ではなくて本当の稜の顔が見えた気がした

それは先ほど怜から聞いた稜の姿に似ている気がした

私が気持ちを伝えれば目を丸くして口を開かなかった稜だけど、今まで見たことのないくらい優しい表情で私を見つめてくれる




「好きだ、七花…本当に、好き」




そっと頭を撫でる時みたいに壊れ物に触れるように優しく優しく稜に抱き締められた


怜の身体なのに、これは稜だって思った


私の心臓が壊れるんじゃないかってくらい大きな音で鳴っている

胸が疼く
じわじわ、きゅぅきゅぅって
でも凄くほわほわで暖かくなる




「何も多くは望まない。ただそばに居て…オレが消えるまで、そばに…」


「居るよ…私はそばにいる…」








今日のタイムリミットまであと少し







稜は人差し指で自分の唇に触れると
その人差し指で私の唇に触れた


それが私と稜の

初めてのキス、だった