多希は相変わらず私の手を強く握っているけれど、なんにも話しないでもくもくと歩いている。 すこし後ろから、その広い肩幅を見上げていた私は、ふと街灯の下に、カラフルな飾り物が釣り下がっているのに気づいた。 別の電柱には「祭」と書かれた提灯に「第〇〇回商店街夏祭」の垂れ幕もあった。 「…そう言えば、もうすぐお祭りかぁ」 ずっと無言で歩いているきまずさを打ち消すように口を開いたのは、私だった。