ぐらり。 身体が揺れて―――前後が分からなくなった。 瞬間、視界が真っ白に―――。 「せんせ!?」 慌てた多希の声も、水の中で聞くように遠かった。 ああ。 やっぱ、仮眠くらいはとっておけばよかった…。 そんな苦い思いがよぎったのを最後に、私は意識を手放してしまった。 多希がすんでで抱き止めてくれたのも気づかず、私はこんこんと眠りにおちいってしまった。