ガラッ! 「せんせーごめんなさい!おくれちゃった!!」 女の子がひとり、息せき切りながら駆け込んできた。 「あら、久美ちゃん?」 「ピアノのおけいこが長くなっちゃったの!おくれてごめんなさい」 勉強会に参加している、まだ小学校一年生の女の子だ。 額には小粒の汗がうかんでいて、柔らかい前髪がしっとり張り付いている。 ピアノのお稽古が終わったばかりだと言うのに、急いで走ってきてくれたらしい。