「あのね、この子たちも言ってるけど…この勉強会は小学生を対象としていて高校生は受け付けてないんだけど…」

「んなことはわかってるよ。そこをどーにか混ぜて欲しいんだよ」


お願いしまーす!とパンと両手を合わせて、茶髪くんは深々と頭を下げた。


私はため息をついた。



「確かにこの会は商店街の企画で私もボランティアで先生をやってるけど、アクマで習いごと程度のものだし…受験対策講座でもなんでもないんだよ?今時、塾とかでセミナーとか無料キャンペーンやってるでしょ?そっちを利用すべきなんじゃないかと思うけど…?」



「それじゃあ、ダメなの」



断固として言い放って、茶髪くんはつかつかと迫ってきた。

ニキビひとつないキレイな顔が至近距離に近づいてきて、私はギョッと仰け反る。



「俺は、あんたが先生じゃないとダメなの」



「えぇ?」



「あんたに教えてもらいたいんだよ」



「は、はぁ?」




「だって俺、あんたのこと、ずっと前から好きだったから」




……。




……。




…沈黙だ。



けど。




『えーーー!!!』




それを打ち破ったのは、子どもたちの絶叫だった。