多希は会館前に立っていた。


兄貴の傘をさしていたけど、身体はすっかりずぶ濡れになっていた。



「多希っ!」



息をきらして叫んだ。


多希は振り返ると、あのカラリとした笑顔を浮かべた。


けれども。

ちょっと泣き顔にも見えたのは、雨のせいなのかな…。