「ひどい雨なのに帰ろうともしないんだ。仕方なく傘を貸してきたけど…」 「……」 「花珠…多希くんとなにかあったのか?」 まじあいつ。 信じられない…! 突き動かされたように客の忘れ物の傘をつかむと、私は兄貴の静止も聞かず店から駆け出た。